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[008] Environmental Zoo

Prototype, 2008


Introduction

[生命の尊厳のための意思決定のオープンプロセス]

これは動物園で起こる生命の問題を取り扱う意思決定の場を開かれたものにする、プロトタイプモデルの提案である。


Data

42nd Central Glass International Architectural Design Competition
Theme: Environmental Zoo
Design Period: 2007.07

第42回セントラル硝子国際建築設計競技
テーマ: 環境動物園
設計期間: 2007.07


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Description

動物にとって良い環境というのは、人間が決めるしかない。

動物は喋ることが出来ない。人間が動物のために作った環境を動物が好んでいるのかそうでないのかということは、人間には判断出来る物ではない。希少種は人間に保護されてまで、その種を残したいのか。動物園で生まれた仔は動物園で育てるべきなのか。ドイツの動物園で生まれ、その生死が社会問題にまで発展したシロクマの仔クヌートを例に挙げるまでも無く、動物の生命を巡る問題は我々人間に常につきまとう問題である。

動物園で起こる生命の問題はごく少数の限られた人間よって判断し、処理される。しかしそういった問題は、決定のプロセスを一般に公開し、人類全体で判断するべきではないだろうか。現代の人間を含むすべての生命を取り巻く問題は、医療や遺伝子技術等の発展により、ますます複雑なものとなっている。また、地球環境の問題から人間は人間以外の動植物や環境と共存していかなくてはいけない。この提案は、そういった状況において人類全体で、責任を共有しながら、動物の生命への判断を下すためのものである。

動物園に一つの新しい機能を持った建築物を提案する。その建物は、動物の生命に対する意思決定を行う場であり、観察(Observation)、提案(Proposal)、判断(Judgement)、ギャラリー(Gallery)の4つのプログラムを持っている。それらのプログラムは意思決定のプロセスの流れをそのまま反映したものになっている。

例えば親に育てることを拒否された仔を生かすべきか、殺すべきかという問題が動物園に起こったとする。まず常に動物を観察(Observation)する立場である動物園が問題の起こったことを一般に公開する。そこに生物学者や獣医、環境学者などが、可能な限りの解決策を提案(Proposition)する。その提案はマスメディアによって一般に伝えられ、哲学者、教育者、動物保護団体、畜産家など生命に対して様々な側面から判断の出来る人間と、世論により判断(Judgment)が下される。その判断はギャラリー(Gallery)にアーカイブとして残され、次の判断のための貴重な資料となる。

このプロセスを経ることで、少なくとも人間の考えうる範囲では、動物達にとって最良の動物園という環境を作り上げていくことができる。そしてこのプロセスの積み重ねは、動物のためだけではなく、複雑化する人間の生命倫理に関わる問題、脳死、死刑、臓器移植、体外受精、遺伝子治療などの判断にも、大きな意味を持つ存在となるのである。

[1] Observation

観察
動物園関係者により、動物達の観察を行う。彼らのみでの判断が難しい問題が起こった場合、その問題は一般に公開される。

[2] Proposition

提案
動物園関係者に加えて、動物学者、生物学者、環境学者、獣医、建築家などのプロフェッショナルにより、問題解決のための選択肢を可能な限り開発、提案する。またその選択肢はマスメディアで一般に公開される。

[3] Judgment

判断
哲学者、教育者、動物保護団体など生命に対して様々な側面から判断の出来るプロフェッショナルと、動物の生命を取り扱う畜産家や猟師などの職業を集め、多角的に選択肢を検討する。そして、マスメディアによって得られた世論や場合によっては投票などを行い、一般の意見を取り入れ、問題を判断、処理する。

[4] Gallery

ギャラリー
いかなる判断が下された場合も、動物の生命に対して下した人間の判断を保存し、一般に公開する。また、その結果を次回に起こる問題の資料とする。ギャラリーの内容はネットワークを通して世界中の動物園で共有される。